訪日ビザ手数料5倍・出国税3倍に|2026年7月の制度改定まとめ
公開日: 2026年7月10日 | 更新日: 2026年7月10日
2026年7月1日、訪日外国人が取得するビザ(査証)の申請手数料が一気に5倍へ引き上げられました。同じ日には国際観光旅客税(出国税)も1,000円から3,000円へと3倍になっています。1978年以来およそ48年ぶりとなる今回の制度改定は、インバウンド事業に携わる旅行会社・宿泊施設・観光地経営者にとって見過ごせない変化です。本記事では改定の中身と背景、そして事業者が押さえておくべきポイントを整理します。
この記事のポイント
- 訪日ビザの申請手数料が2026年7月1日から5倍に改定(一次査証:3,000円→15,000円、数次査証:6,000円→30,000円)
- 同日、国際観光旅客税(出国税)も1,000円→3,000円に引き上げ。対象は出国する日本人も含む
- 一方でパスポート(旅券)の申請手数料は引き下げられている
- ビザ手数料と出国税の増収は年間約3,500億円規模で、オーバーツーリズム対策等に充当される見込み
ビザ手数料はどう変わったのか
今回の改定は、外務省が定める「領事官の徴収する手数料に関する政令」の改正によるもので、2026年7月1日以降に在外公館で受理されたビザ申請から新料金が適用されています。改定内容は以下の通りです。
| ビザの種類 | 改定前 | 改定後 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 一次査証(1回限りの入国) | 3,000円 | 15,000円 | 5倍 |
| 数次査証(有効期間内に複数回入国可) | 6,000円 | 30,000円 | 5倍 |
一次査証は、観光目的で1度だけ日本を訪れる人の多くが取得するタイプです。数次査証は、有効期間中であれば何度でも入国できるため、ビジネスでの往来が多い層やリピーター観光客に利用されています。今回はいずれも同じ5倍という改定率になりました。新しい一次査証の15,000円という水準は、米国や欧州主要国のビザ手数料と近い金額とされています。
国際観光旅客税(出国税)も同時に3倍へ
ビザ手数料と同じ2026年7月1日、国際観光旅客税(通称・出国税)も引き上げられました。
| 項目 | 改定前 | 改定後 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 国際観光旅客税(出国税) | 1,000円 | 3,000円 | 3倍 |
出国税は2019年1月に創設された税制で、日本から出国する人全員が対象です。つまりビザ手数料とは異なり、海外へ渡航する日本人自身も負担者になります。ビザ手数料が「入国する外国人に事務コストを負担してもらう」仕組みであるのに対し、出国税は「日本を出るすべての人に、観光インフラの維持費を薄く広く負担してもらう」仕組みという整理ができます。
あわせて興味深いのが、日本人向けのパスポート申請手数料はこの7月1日に逆に引き下げられている点です。18歳以上・10年用のパスポートは、電子申請で15,900円から8,900円へ、窓口申請で16,300円から9,300円へと下がっています。訪日客向けの負担は引き上げ、自国民の渡航ハードルは下げるという、対照的な制度設計になっています。
なぜ今、引き上げられたのか
ビザ手数料の据え置き期間は1978年から約48年間に及んでおり、この間の物価上昇や為替変動、そして訪日客の急増にともなう事務コスト拡大に対応しきれていないという課題が指摘されてきました。政府はビザ手数料と出国税をあわせて年間3,500億円程度の増収を見込んでおり、このうち2,100億円程度をオーバーツーリズム対策など観光関連施策に、残りの1,400億円程度をガソリン旧暫定税率廃止にともなう税収減の補填に充てる方針です。
この背景には、日本のインバウンド市場が世界的に見ても急成長を続けているという事情があります。日本の位置付けについては世界インバウンド観光客数・収入ランキングの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
訪日ビザは誰にとって影響が大きいのか
ビザ発給件数の内訳を見ると、中国向けが全体の7割超を占めており、次いでフィリピン、ベトナムが上位に入っています。つまり今回の値上げは、これらの国・地域からの送客を扱う旅行会社やランドオペレーターにとって、実務上の影響が特に大きいと考えられます。すでに中国からの訪日客数は前年割れが続いている状況もあり、手数料改定がさらなる需要への影響要因になるかどうかは、今後の動向を注視する必要があります。
インバウンド事業者が今から準備すべきこと
- 海外の送客パートナー(旅行会社・OTA)へ新料金と施行日を正確に周知する
- ビザ免除国以外からの団体・法人旅行の見積もりに新手数料を反映する
- 数次査証は据え置きより高額になるため、リピーター向けツアーの訴求文言や料金説明を見直す
- 中国・フィリピン・ベトナムなど発給上位国向けの多言語案内文を更新する
- 出国税引き上げ分について、パッケージ料金への転嫁方針を早めに検討する
よくある質問
Q. ビザ手数料はいつから新料金になりましたか?
A. 2026年7月1日以降に在外公館で受理された申請から新料金が適用されています。
Q. 出国税は外国人だけが対象ですか?
A. いいえ。国際観光旅客税は日本から出国するすべての人が対象で、海外へ渡航する日本人も同じく1回3,000円を負担します。
Q. ビザ免除対象国からの旅行者にも影響がありますか?
A. 直接のビザ手数料負担はありませんが、出国税の引き上げは渡航者全体に関わるため、訪日旅行のトータルコストという観点では無関係ではありません。
Q. 観光目的の旅行者も15,000円を払う必要がありますか?
A. ビザが必要な国・地域からの観光客の場合、多くは一次査証に該当するため15,000円の負担が発生します。ただし韓国・台湾・米国・EU主要国など、日本と査証免除協定を結んでいる国・地域からの短期観光客はそもそもビザが不要なため、今回の値上げの影響を受けません。値上げの対象は、あくまでビザ取得が必要な国・地域からの渡航者に限られます。
Q. 値上げによって訪日需要は減りますか?
A. 現時点で確定的な影響は明らかになっていません。中国からの訪日客数はすでに前年割れが続いており、今回の改定がどの程度上乗せの影響を与えるかは今後のデータ推移を注視する必要があります。
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参考:外務省「領事官の徴収する手数料に関する政令」改正関連発表、観光庁発表資料、各種報道(2026年6月〜7月)