浅草定点観測 2026年3月|雷門前の外国人比率72%、消費は食べ歩きへ
公開日: 2026年9月5日 | 更新日: 2026年9月8日
浅草定点観測 2026年3月|雷門前の外国人比率72%、消費は食べ歩きへ
毎月第1土曜の14時、私たちは浅草・雷門前の同じ場所に立ち、1時間だけ通行人を数え続けています。今回で30回目。約2年半、同じ地点を見てきました。
「浅草は外国人が多い」と、誰もが言います。でも、その割合が何%で、去年とどう変わり、彼らが何を手に持っているかを、実際に数えた人はほとんどいません。この記事は、2026年3月7日(土)の1時間の記録です。
- 雷門前の外国人比率は72%。 「中国語が過半数」だった時代は、もう終わりました
- お金の使い道が「買い物袋」から「食べ歩きスイーツ」へ動いています。 これは公的統計とも一致します
- 街は「食べ歩きマナー」の対応期に入りました。 事業者が今すぐ読むべきサインです
私たちMILOKUは、浅草で忍者体験カフェ・食品サンプルカフェを自社運営しています。代表の川名は、その前は人力車の車夫として雷門前に立っていました。同じ場所を、長期間、当事者として見続けている——それがこの定点観測です。
1. なぜ「毎月・同じ場所・同じ項目」を数えるのか
インバウンドの記事は、世の中にあふれています。しかしその多くは、官公庁が発表した数字の要約です。検索すれば出てくる情報です。
私たちがやっているのは、その逆です。浅草という一点を、毎月同じ条件で数える。 これは、他社が絶対に真似できません。
統計は「日本全体」を見せてくれますが、「雷門前の今日」は見せてくれません。
そして、去年の3月に雷門前で外国人を数えていた記録は、いま数え始めても手に入りません。
定点観測は、時間が経つほど価値が増す、複利の資産です。
数えているのは、次の6項目です。通行人100人の国籍比率、聞こえた言語、手に持っているもの、人力車・着物レンタルの利用、行列店、そして前月からの変化。スマホのカウンターアプリと、メモ1枚で足ります。
2. 通行人100人のうち、外国人は72人
まず、最初の20分で通りかかった100人の内訳です。
| 区分 | 人数 | 前回からの動き |
|---|---|---|
| 外国人 | 72名 | 先月比 +5ポイント |
| 日本人 | 28名 | 地元の高齢者と若いカップルが中心 |
3月上旬という、桜にはまだ早い時期でこの比率です。円安の定着もあり、雷門前は「アジア系+欧米豪」の混成状態になっています。
「中国語が過半数」は、もう過去の話
聞き取れた25グループの言語内訳を見ると、変化はもっとはっきりします。
| 言語 | グループ数 | 現場での印象 |
|---|---|---|
| 英語 | 11 | 北米・欧州の個人旅行者が急増 |
| 中国語(簡体・繁体) | 7 | 台湾・香港のファミリー層が目立つ |
| 韓国語 | 4 | — |
| その他(スペイン語・仏語) | 3 | 欧州個人客の多様化 |
この定点観測を始めた約2年半前は、中国語が過半数でした。いまは英語が最も多く、完全に多国籍化しています。
2026年4-6月期の訪日消費額では、米国が国籍別1位(構成比15.3%)となり、
中国は前年同期比−48.8%と半減しました(出典:観光庁 インバウンド消費動向調査 2026年4-6月期 1次速報/2026-07-15公表)。
「インバウンド=中国人」という前提は、雷門前でも、統計でも、すでに崩れています。
団体バスツアーより、スマホで地図を見ながら歩く少人数グループが主流です。英語圏の旅行者は、仲見世通りに入る手前で必ず立ち止まって写真を撮ります。この「立ち止まる場所」を知っているかどうかも、現場を見ていないと分かりません。
3. 持ち物が語る、「モノ」から「コト・食べ歩き」への移動
いちばん示唆的だったのが、通行人100人の手に持っているものです。
| 持ち物 | 人数 | 中身 |
|---|---|---|
| 飲食物(食べ歩き) | 34名 | いちご飴、抹茶ソフト、メンチカツの紙袋 |
| 買い物袋 | 29名 | ドン・キホーテ、ドラッグストアが中心 |
| スーツケース・大型リュック | 22名 | ロッカー不足で引いて歩く人が常態化 |
| 一眼レフ・本格カメラ | 8名 | — |
| 手ぶら・小型バッグ | 7名 | — |
観測開始当初、雷門前で目立ったのは「ドラッグストアの買い物袋」でした。それが今では、食べ歩きのスイーツを持つ人が、買い物袋を上回っています。
2026年4-6月期の費目別構成比は、宿泊費37.0%/買物代26.8%/飲食費21.7%/娯楽等サービス費4.3%。
前年同期比で飲食費・娯楽等サービス費・買物代の構成比が増加し、宿泊費は低下しました(出典:同上)。
爆買いから、体験と食へ。雷門前で数えた持ち物は、この全国的なシフトを先取りして見せています。
浅草の飲食店・体験施設にとって、これは追い風です。詳しくは浅草の飲食店がインバウンド集客するにはにまとめています。
4. 人力車8割が外国人、着物は「レトロ柄」へ
体験系のサービスも数えています。
代表・川名が車夫だった頃と比べても、外国人の乗車比率は上がり続けています。浅草寺周辺を回る短距離コースが人気です。
着物レンタルでは、質的な変化も見えました。以前は落ち着いたレース系が人気でしたが、最近は色鮮やかなレトロ柄を選ぶ欧米系観光客が増えています。「写真映え」の基準が、国籍によって違うということです。こうした肌感覚は、人力車の車夫の視点ならではのものです。
5. 行列店ランキング|スイーツに外国人女性が9割
14時45分時点で、行列ができていた店です。
| 順位 | 店 | 待ち | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | 浅草メンチ | 約35人 | 回転は早いが、常に角を曲がって列が伸びる |
| 2 | 浅草花月堂(メロンパン) | 約25人 | 写真撮影待ちの若者が多数 |
| 3 | いちごスイーツ専門店(新店) | 約20人 | 9割が外国人女性 |
第3項の「持ち物=食べ歩き」データと、行列の顔ぶれが完全に一致しています。外国人観光客が、いま浅草でお金を落としているのは、片手で食べられるスイーツです。
6. 街が変わり始めた|2026年2月からの2つの変化
定点観測でいちばん大事なのは、前月から何が変わったかです。今月は2つ、はっきりした変化がありました。
□ 日本語表記のない店が出現。 雷門通りの元・古着屋跡に、外国人向けの「抹茶体験&テイクアウトカフェ」がオープン。店頭看板は英語・中国語・韓国語のみで、日本語がありません
□ 食べ歩きマナーの対応が始まった。 仲見世の裏通りに、歩き食べを控えるよう促す英語の注意看板が増設。ゴミ箱の前で食べきるルールが、少しずつ浸透し始めています
この2つは、無関係ではありません。食べ歩き需要が伸びた結果、街がマナーの整備に動いている——需要の変化が、街のインフラの変化として現れ始めた、ということです。
7. この観測から、浅草の事業者が今やるべきこと
1時間のメモですが、事業者が動くための材料は十分に読み取れます。
特に、外国人が店を探す入口は、いまもGoogleマップです。受け皿の作り方はインバウンドMEO対策の完全ガイドにまとめています。
8. やらなくていいこと
売り物を否定できるのは、他に売るものがある会社だけです。現場を数えてきた立場で、正直に書きます。
□ 「爆買い」前提の品揃え — 買い物袋より食べ歩きが伸びています。高額物販一辺倒は時流とずれます
□ 中国語だけ/英語だけの対応 — 現場は多国籍。1言語に絞る前に、まず英中韓を薄く広く
□ 団体バスツアー狙いの一括対応 — 主流はスマホで歩く少人数グループです
□ 日本語だけのメニュー・看板 — 日本語なしの店すら出始めています。多言語は前提条件になりました
9. よくある質問
Q. 定点観測は、うちの店でもできますか。
できます。毎月同じ日・同じ時間・同じ場所で、通行人100人を数えるだけです。3ヶ月続ければ、自分の商圏の変化が数字で見えてきます。特別な道具は要りません。
Q. なぜ雷門前なのですか。
外国人観光客の動線が、必ず通る一点だからです。条件を固定することが、定点観測の命です。場所・時間・数える項目を変えると、比較ができなくなります。
Q. この数字は、浅草全体に当てはまりますか。
雷門前という一点の記録です。ただし、同じ地点を長期間見ているからこそ、「変化の方向」は信頼できます。全国統計と照らすと、方向は一致していました。
Q. 次回はいつですか。
毎月第1土曜の14時に続けます。3ヶ月分がたまれば「四半期でどう動いたか」、12ヶ月で「1年の推移」という、他社が持てない資産になります。
まとめ
浅草は、毎月確実に変わっています。その変化を、感覚ではなく数字で押さえている——これが、私たちが現場に立ち続ける理由です。来月も、同じ場所で数えます。
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浅草で忍者体験カフェを自ら運営し、雷門前を30ヶ月数え続け、300社以上を支援してきた立場から、御社のGoogleマップと受け皿を拝見し、いま打つべき一手をご説明します。