訪日インバウンドの情報源とは?国別・旅フェーズ別の活用動向と集客対策を解説
公開日: 2026年8月18日 | 更新日: 2026年8月18日
はじめに:インバウンド集客の鍵を握る「情報源の把握」
2026年現在、訪日外国人観光客(インバウンド)の消費行動や旅行動向は多様化・深化を続けています。かつての「ゴールデンルートを巡る団体ツアー」から、個人の興味・関心に基づいた「個人旅行(FIT)」や「地方での体験型観光(ガストロノミー、アドベンチャートラベル等)」へと市場がシフトする中、インバウンド集客を成功させるために不可欠となるのが「外国人観光客がどの情報源を活用し、どのような流れで旅行を計画しているか」の正確な把握です。
市場規模は拡大を続けています。観光庁の調査によると、2024年の訪日外国人旅行消費額は総額8兆1,257億円と過去最高を更新し、訪日客1人当たりの旅行支出は22.7万円に達しました[1]。さらに2025年は9兆4,549億円(前年比16.4%増)と、消費額全体は過去最高を更新し続けています[2]。
どれほど優れた観光コンテンツ、宿泊施設、飲食店、商品を用意していても、ターゲット層が利用する情報源へ届く形で情報発信が行えていなければ、認知を獲得することはできません。
本記事では、観光庁(JNTO・日本政府観光局を含む)の最新データや実態調査をベースに、訪日外国人が参考にする主要な情報源の傾向、国・地域別の特徴、旅マエ・旅ナカごとのアプローチ方法、そして集客につなげるための具体的なWEBマーケティング施策までを分かりやすく解説します。
インバウンドが活用する主要な情報源一覧
外国人旅行者が日本旅行を計画・実施する際に接する情報源は、大きくデジタルメディア、SNS、口コミ、公式ポータルの4つに分類されます。
実際、観光庁の調査では、出発前に役に立った旅行情報源は「SNS」(38.9%)、「動画サイト」(38.1%)、「個人のブログ」(24.9%)の順で多く、「日本政府観光局ホームページ」は12.0%でした[3]。つまり、デジタルメディア・SNS・口コミが旅マエ情報収集の主力であることが、公式データからも裏づけられています。以下、それぞれの情報源を詳しく見ていきましょう。
1. SNS・動画投稿サイト(Instagram, TikTok, YouTube, RED/小紅書)
現在のインバウンド集客において、最も強力かつ影響力の高い情報源がSNSおよび動画投稿サイトです。前述の観光庁データでもSNS(38.9%)と動画サイト(38.1%)が情報源の上位2つを占めており、写真や動画といった視覚的なコンテンツは、言語の壁を越えて直感的に魅力を伝えることができるため、行きたいスポットや店舗を探す主たる手段となっています。
- YouTube:旅マエのVlogや詳細なモデルコース、体験談の視聴に多用される。
- Instagram:映える写真や短尺動画(Reels)で視覚的な興味・関心を喚起する。
- TikTok:若年層を中心に、リアルな街の雰囲気や隠れた名所を見つける手段として定着。
- RED(小紅書):中華圏(特に中国本土)のユーザーにとって、検索エンジン代わりの情報収集ツール。
2. 個人の旅行ブログ・体験型メディア
旅行者が実際に体験した生の記録(体験談)が綴られている個人の旅行ブログは、高い信頼を獲得しています。観光庁の調査でも「個人のブログ」は24.9%と、SNS・動画サイトに次ぐ第3位の情報源となっています[3]。
特に海外の有名トラベルブロガーやインフルエンサーによる「10日間のモデルコース」「格安旅ノウハウ」「ローカルグルメまとめ」などは、旅の具体的なイメージを沸かせる信頼性の高い情報源として重宝されています。
3. 個人の口コミ・レビューサイト(Googleマップ, TripAdvisor)
「どこに泊まるか」「どこで食べるか」を決める最終判断において、最も重要視されるのが第三者のリアルな評価です。
特にGoogleマップの口コミ(MEO対策)やTripAdvisorは、多言語でのレビューが豊富に揃っており、外国人観光客が街を歩きながら「近くの良い店」を探す(旅ナカ)際の最重要ツールとなっています。実際、観光庁の調査では、日本滞在中に役に立った旅行情報源は「スマートフォン」が89.5%と圧倒的多数を占めており[4]、街歩き中のスマホ検索・地図アプリ利用がいかに主流かがわかります。
4. 観光情報サイト・WEBメディア(Japan Guide, JNTO公式など)
日本の基本情報(交通アクセス、マナー、Wi-Fi環境、季節のイベント、桜の開花予想など)を確認する手段として、Japan Guideに代表される大手観光ポータルサイトやJNTO(日本政府観光局)の公式WEBサイトが利用されています。JNTOは15言語のウェブサイトに加え、22市場向けのFacebook、21市場向けのInstagram等を通じて外国人目線の実用情報を発信しています[5]。
【旅フェーズ別】外国人旅行者の情報収集行動(旅マエ・旅ナカ・旅アト)
訪日外国人の情報収集行動は、「旅前(旅マエ)」「旅中(旅ナカ)」「旅後(旅アト)」の3つの行動フェーズによって検索する目的や利用するツール(情報源)が大きく変化します。
旅マエ(渡航前):認知拡大と予約獲得のフェーズ
旅マエでは、「日本で何をしたいか」「どこへ行くか」という全体のブランディングや計画・予約が行われます。
このフェーズでの主な情報源はYouTubeのVlog、旅行ブログ、観光情報サイトです。ユーザーは「Japan Travel Guide」や「Kyoto Itinerary」などのキーワードで検索し、滞在中の枠組みを決定します。
なお、出発前に役立った情報源を「言語」で見ると、「英語」が50.3%と最も多く、次いで韓国語(24.5%)、中国語繁体字(23.5%)、中国語簡体字(17.1%)の順でした[6]。この段階で自社のWEBサイトやSNSアカウント、予約ページが多言語対応(まずは英語)されていることが、予約獲得の必須要件となります。
旅ナカ(滞在中):滞在体験の最大化と即時集客のフェーズ
日本に到着した後の旅ナカでは、「今から行ける近くの飲食店」「次の移動方法」「周辺の観光スポット」といった即時性の高い情報が求められます。
観光庁の調査によれば、日本滞在中に役立った旅行情報の内容は「交通手段」(68.9%)、「飲食店」(57.9%)、「観光施設」(37.2%)の順で多く[4]、まさに「移動」と「食」がリアルタイム検索の中心であることがわかります。主な情報源はGoogleマップ、交通検索アプリ、SNSのハッシュタグ検索・位置情報機能です。店舗側としては、Googleビジネスプロフィールの多言語化や最新情報の更新、館内・店内の多言語案内やWi-Fi環境の整備が、満足度向上と売上拡大に直結します。
旅アト(帰国後):ファン化とクロスセルのフェーズ
帰国後は、日本での体験談や撮影した写真・動画をSNS(Instagram等)へ投稿・シェアする動きが活発になります。また、現地で気に入った商品を自国から購入する「リピート購入」の需要も高まります。
なお、滞在中の決済手段は「現金」(94.0%)が依然最多ですが、「クレジットカード」(72.6%)、「モバイル決済」(17.0%)も広く使われており[7]、キャッシュレス対応は旅ナカの利便性向上に不可欠です。自社ECサイト(越境EC)やSNS公式アカウントを運用しておくことで、帰国後も継続的な接点を保持できます。
【国・地域別】訪日外国人が重視する情報源の特徴とトレンド
訪日外国人観光客と一言で言っても、出身国・地域によって使用するSNSプラットフォームや情報収集の傾向は大きく異なります。ターゲットとする国ごとの特性を把握したマーケティング戦略が必要です。
観光庁の国籍別調査で「出発前に役立った旅行情報源」の1位を見ると、韓国・中国はSNSが、台湾・香港・米国・英国・オーストラリアは動画サイトが最上位となっており、国ごとに主力チャネルが分かれます[8]。以下の表とあわせて、ターゲット国の特性を確認してください。
補足:欧米豪は「長期滞在×地方訪問」の傾向が強い
観光・レジャー目的の平均泊数は、英国・ドイツ・フランス・スペイン・オーストラリアなどで10泊以上と長く、これらの国では14日間以上の滞在者が5割を超えます[9]。滞在が長い欧米豪ほど、大都市圏だけでなく地方へ足を伸ばす余地が大きいと言えます。
2026年に海外観光客から絶大な人気を集める旅行ブログ11選
ここでは、実際に欧米・アジアの訪日外国人が「旅マエの計画段階」で絶大な信頼を寄せている代表的な旅行ブログ・メディアをご紹介します。外国人目線での切り口や評価ポイントを理解するケーススタディとしてご活用ください。
- 1The Boutique Adventurer(著者:Amanda O’Brien)
ハイエンドかつ穴場スポットの体験に特化したラグジュアリー層向けブログ。定番の東京・京都・箱根に上質な宿やユニークな体験を組み込んだ10日間モデルコースが人気です。 - 2ikwilmeerreizen(運営:Mirjam & Annemarie)
オランダ語圏を中心に高い人気を誇る体験型メディア。大都市の熱気だけでなく、日本アルプスや地方の農村部を巡る2週間プランなど、都会と田舎をバランスよく楽しみたいリピーター層に支持されています。 - 3Never Ending Footsteps(著者:Lauren)
1日あたりの宿泊費、食費、交通費、観光費用をリアルに分析したコスト特化型ブログ。円安環境下での「スマートで現実的な日本旅行の予算の組み立て方」として節約派のFIT層に読まれています。 - 4Karlijn Travels(著者:Karlijn)
オランダ語圏の個人旅行者(FIT)向けバイブル。奈良の歴史的寺院巡りから新幹線の具体的な乗り方・予約方法まで、美しい写真とともに丁寧に解説されています。 - 5NOMADasaurus(運営:Alesha & Jarryd)
世界中のアウトドア・アドベンチャー好きが利用する格安旅メディア。費用を抑えつつ日本の自然や歴史的建造物を最大限楽しむノウハウを伝授しています。 - 6Ordinary Traveler(著者:Christy)
主要都市をコスパ良く巡るための実践的ガイド。手頃なホテルや安くて美味しいローカルグルメの探し方、複雑な日本の交通機関を損せず乗りこなすコツを提案しています。 - 7Inside Kyoto(著者:Chris Rowthorn)
古都・京都観光において世界的な知名度を持つ専門Webメディア。1日〜5日間の滞在日数に応じた緻密なモデルコースを提供し、欧米客の京都観光のバイブルとなっています。 - 8Two Wandering Soles(運営:Katie & Ben)
「サステナブルトラベル(持続可能な旅)」と「低予算」を両立させたブログ。環境や地域に配慮しながらローカルな食や宿泊を楽しむ方法を発信し、若いエシカル志向の観光客から共感を得ています。 - 9Japan Guide(共同運営型インバウンドメディア)
日本の全地域に関する観光情報、モデルコース、桜の開花予想、交通アクセスを網羅した最大手インバウンドメディア。訪日客のほぼ全員が一度は目にする絶対的な情報源です。 - 10Wanderlicious(著者:Adriana)
食と旅を愛するグルメ特化型ガイド。東京の最先端グルメから京都の伝統和食、大阪の街頭食べ歩きまで、食を目的とした「10日間の日本食いだおれ旅」を紹介しています。 - 11Just One Cookbook(著者:Nami)
本格的な日本料理レシピで世界的に有名なブログが発信する「食×旅」ガイド。日本の食文化の背景やマナーまで深く解説されており、料理好き・文化探求型の外国人から支持を集めています。
6つの集客施策を「売上」に直結させる実践知見
インバウンド集客の基礎施策は、多くの店舗や自治体が取り組んでいます。しかし「その通りに進めても、なぜか結果が出ない」と頭を抱えてしまうのが、インバウンドマーケティングの難しい現実です。これらの施策を「どの順番で、どう連動させ、どう現地での体験(アナログ)に繋ぎ込むか」という本質的な設計図が抜けているケースが非常に多いからです。
株式会社MILOKUが、全国の観光・飲食の現場で検証を繰り返し、自社の店舗運営でも実際に売上を出してきた体験をベースに、この6つの施策を「一過性の露出」で終わらせず、「売上と利益(直接予約)」へと直結させるための戦略的知見を追加します。
1施策1:Googleビジネスプロフィールの多言語化・MEO対策
外国人特有の「広域検索」に対応し、「熱量の高い長文口コミ」を現場で集めよ
旅ナカ(旅行中)の当日客の多くは、その場のスマホ検索で店やアクティビティを探しています。観光庁の調査でも、日本滞在中に役立った情報源はスマートフォンが89.5%と圧倒的でした[4]。だからこそMEO対策は最優先ですが、ただ情報を多言語化するだけでは競合に埋もれてしまいます。
- 外国人特有の「広域検索」に対応する:日本人は「祇園 寿司」などのピンポイントな地名で検索しますが、外国人は『Kyoto Sushi』や『Ramen near me』といった、より広域のエリア名や現在地キーワードで探します。店舗説明文や口コミの返信文の中に、外国人が実際にスマホに打ち込むターゲットキーワードを自然に盛り込んでおくことが上位表示(トップ3枠)を狙うコツです。
- 「★5の数」よりも「口コミの熱量と写真」が命:最近のGoogleや生成AIのアルゴリズムは、薄い口コミ(「デリシャス!」の一言など)の評価を下げています。AIに選ばれるために必要なのは「具体的なメニュー名やスタッフの名前、体験のストーリー、写真が添えられた熱量の高い長文の口コミ」です。食事の終盤で満足度が高まったタイミングで、無料Wi-Fi環境とともに口コミ投稿用QRコードを差し出す。この現場の仕掛けこそが、長期的な集客資産になります。
2施策2:公式WEBサイトの多言語対応とSEO対策
ホームページに大金をかけるな。最大の目的は「直販率(直接予約)」での利益最大化だ
海外客は事前リサーチを徹底するため、ホームページがない状態は「家なのに玄関がない」のと同じで、信頼を失ってしまいます。ただし、高額なホームページは不要です。
- 「What・Atmosphere・Price・Book」の4要素を1ページに凝縮:どんな料理・客室・体験ができるか(What)、雰囲気(Atmosphere)、予算感(Price)、予約方法(Book)。これらがスマホから直感的に見やすい、シンプルな1ページの縦スクロールサイトで十分です。
- 大手OTAの手数料から自社の利益を守る:Booking.comやKlookなどの海外大手OTAは即効性のある露出窓口ですが、15〜25%近い手数料がプラットフォームへ吸い上げられます。ホームページ(受け皿)にはニッチな英語キーワードでSEO対策を施し、自社サイトからの直接予約(直販)に流し込む予約動線を完備します。自社グループの忍者体験カフェでは、全体の約8割をOTAを介さない直接予約で獲得し、高い利益率を実現しています。
3施策3:ターゲット国に合わせたSNS公式アカウントの運用
SNSの優先順位は「最後」でいい。言語を捨てた「ノンバーバル(非言語)動画」で世界を射抜け
「インバウンド集客=まずSNS」と飛びつく人が多いですが、SNSの優先順位は最後です。SNSはお金(売上・予約)から最も遠い「認知拡大」のツールだからです。受け皿である公式HPやGoogleマップが整っていない状態でバズっても、ザルで水をすくうように顧客を逃してしまいます。
- 世界を射抜く「ノンバーバル(非言語)コンテンツ」:翻訳字幕や長文の英語テキストは不要です。職人が寿司ネタを引く「包丁のASMR音」、鉄板で肉が焼ける「音と質感」、店の「活気あふれる空気感」。五感に訴える動画は、英語圏・アジア圏・欧州圏を問わず、言葉を介さずに「行ってみたい」という感情を刺激します。この非言語動画の発信だけで4ヶ月で5万人のフォロワーを獲得した寿司店や、売上が前年比200%を超えたオムライス専門店などの事例が生まれています。
なお、まず英語から着手するのは公式データ上も合理的です。出発前に役立った情報源の言語は英語が50.3%と最多でした[6]。
4施策4:インフルエンサー(KOL)・トラベルブロガーとのタイアップ
一発の花火で終わらせるな。インフルエンサーを起点にした「自動集客スパイラル」を構築せよ
海外向けのインフルエンサーを呼んで一時的にアクセスを増やすだけでは、費用をドブに捨てるのと同じです。本質は、彼らの発信をきっかけに訪れた一般客に、さらに口コミ(旅アト)を投稿してもらう「2次拡散の仕掛け」にあります。
インフルエンサーの動画を見て来店した客が「本当にあの動画通りだ」と感動したタイミングで、現場のスタッフがMEOやTripAdvisorへの写真付き長文レビューの投稿を丁寧に促します。これによって一般観光客の生の1次情報が雪だるま式に蓄積され、プロモーション期間終了後も、口コミを読んだ新たな「旅マエ客」が押し寄せ続ける仕組みが完成します。また、国籍ごと(韓国のNAVER、中国のRED、欧米のTripAdvisorなど)に刺さる媒体が異なるため、ターゲット客層に合わせてピンポイントでインフルエンサーを厳選することが絶対条件です[8]。
5施策5:多言語パンフレット・館内案内のデジタル化(QRコード活用)
無駄なアプリDLは「離脱」を生む。QRの先は「Webブラウザ完結」でアレルギーやマナーの不安を解消せよ
店頭やテーブルにQRコードを置いてメニューやガイドをデジタル化することは有効です。しかし、絶対にやってはいけないのが「専用アプリのダウンロード」を必須にすることです。海外客からすれば、不慣れな土地でアプリを入れるハードルは極めて高く、その瞬間に高確率で離脱します。
- QRコードの先は、1秒で開く「Webブラウザ完結型」にする。
- アレルギー・宗教・無意識の不安の完全排除:メニューやガイドには、英語訳だけでなく「ピクトグラム(イラストマーク)」を必ず併記します。豚肉、アルコール、ヴィーガン、小麦アレルギーなどの情報は、彼らにとって「命に関わる選択基準」だからです。
- 「美味しい食べ方」や「独自マナー」の動画化:すき焼き・しゃぶしゃぶ・ひつまぶしなど、食べ方がわからない日本食に対して、QRコードから3言語ほどのシンプルな「食べ方手順動画」が見られるようにしておくだけで、外国人客の安心感を高めつつ、スタッフの説明負荷を大幅に減らせます。
6施策6:地域連携・観光情報サイトへの情報掲載
ベタな観光アピールは古い。リピーターが求めるのは「地元のありのままの日常」だ
DMOや自治体の公式観光ポータルに掲載してもらうことは、ドメイン(SEO)パワーを借りる意味でも有効です。しかし、アピールする内容が「お仕着せの綺麗なパンフレット用の景色」ばかりになっていないでしょうか。
- 「日本人しかいない、飾らない日常」こそがお宝:日本を2度、3度と訪れるリピーター客(特に高単価な欧米豪のFIT客)が求めているのは、テーマパークのような観光地ではなく、「日本人が普段愛している、リアルで飾らないありのままの日常」です。地元の常連で賑わう古い居酒屋や路地裏の焼き鳥屋、下町の生活風景や伝統工芸の仕込み風景。事業者が「普通で見せるものじゃない」と思い込んでいる業務風景やスタッフのこだわりこそが、彼らにとっては「お金を払ってでも没入したい究極の日本文化体験」になります。これらを周辺ガイドやストーリーとして地域全体で連携し発信することが、地域を一つの目的地へと進化させる鍵になります。
前述の通り、欧米豪の旅行者は滞在日数が長く(多くの国で10泊以上、14日以上の滞在者が5割超)[9]、大都市から地方へ回遊する余地が大きいことも、この「日常」戦略を後押しします。
まとめ:インバウンドの情報源に合わせた多角的な情報発信を
訪日外国人観光客(インバウンド)の増加に伴い、彼らが参考にする「情報源」はSNS、口コミサイト、個人ブログ、動画メディアなどへ多層化・細分化しています。観光庁データでも、旅マエはSNS(38.9%)・動画サイト(38.1%)・個人ブログ(24.9%)が上位を占め[3]、旅ナカはスマートフォン(89.5%)が圧倒的でした[4]。
- 旅マエ:YouTubeや旅行ブログ、ポータルサイトでの認知形成と予約確保
- 旅ナカ:Googleマップ(MEO)やInstagram/TikTokでの即時集客と満足度向上
- 国別対策:韓国・中国はSNS、台湾・香港・欧米豪は動画サイトが主力チャネル
自社のターゲットとなる外国人観光客が「いつ」「どこで」「どのような情報源を見て意思決定しているか」を分析し、旅フェーズに合わせた最適な情報発信・環境整備を進めていきましょう。
インバウンド集客に関するご相談・お問合せ
当社では、宿泊施設・飲食店・自治体様向けに、多言語WEBサイト制作、Googleマップ(MEO)対策、海外向けSNS運用代行などのインバウンドマーケティング支援を行っております。まずはお気軽にお問い合わせ・資料ダウンロードをご利用ください。
インバウンドの情報源・集客施策に関するよくある質問(Q&A)
訪日外国人観光客向けの情報発信や集客施策を設計する際、多くの企業・宿泊施設・飲食店や自治体担当者から寄せられる疑問と、その解決策をまとめました。
Q1. インバウンドが集客のために最も注目・利用している情報源は何ですか?
Q2. 飲食店や宿泊施設がインバウンド獲得に向け、優先的に始めるべき取り組みは何ですか?
A. 費用を抑えて大きな効果を期待できる「Googleビジネスプロフィール(MEO対策)」の更新と、自社「ホームページ」の多言語対応から始めるのが最も有効です。
滞在中にスマートフォンで情報収集する外国人が89.5%にのぼる[4]ことからも、まずは以下のポイントから着手しましょう。
- 情報の正確性と最新化:営業時間、サービス内容、施設画像を最新状態に更新する。
- 多言語メニュー・案内の掲載:英語に加え、ベジタリアンやハラール対応などの食事制限情報や、決済方法の有無を明記する。
- ホームページの工夫:スマホ対応(レスポンシブデザイン)と多言語切替機能を導入し、アクセス時のストレスをなくす。
自社ホームページやWEBマーケティングの基盤を整えることで、SNS広告やオンラインプロモーションを実施した際の予約コンバージョン率(CVR)も高まります。
Q3. インバウンド向け「広告運用」や「SNSマーケティング」で失敗しないためのポイントは?
A. ターゲットとする国・地域ごとに異なる需要・傾向を理解し、市場に応じたプラットフォームを選定することです。
観光庁の国籍別データでも、出発前情報源の1位は韓国・中国がSNS、台湾・香港・米国・英国・豪州が動画サイトと分かれています[8]。同じアジア圏でも韓国は「NAVER」、台湾は「Facebook/Instagram」、中国は「RED(小紅書)」など、利用チャネルが異なります。全対象国に同じ広告メッセージを打ち出すのではなく、国別の興味・関心や文化背景に合わせたクリエイティブと文章の最適化設計が成功の鍵です。
Q4. 地方の観光業や中小企業でも、インバウンド需要を取り込むことは可能ですか?
A. 十分に可能です。地方ならではの自然や歴史、食文化などの価値を正確に伝えることで、高い認知度と集客を実現できます。
特に欧米豪の旅行者は滞在日数が長く、観光・レジャー目的の平均泊数が10泊以上、14日以上の滞在者が5割を超える国も多いため[9]、大都市圏(ゴールデンルート)から地方へ回遊する余地が大きいのが特徴です。実績のある取り組みとしては、以下が挙げられます。
- 観光プロモーションのDX推進:紙のチラシ配布から、SNS動画発信や多言語WEB予約システムの導入へ移行。
- 地域一体となった受入環境の強化:周辺施設や交通事業者と連携し、フリーWi-Fiやキャッシュレス決済を拡充。
- 外国人目線の魅力発信:商店街、農村風景、ローカル線など、日本人にとっては当たり前の日常を外国人の視点で切り取ってSNSで発信。
「自社には外国人向けの魅力がない」と捉えず、外国人旅行者の視点で自社の強みを再発見することが大切です。
Q5. 2026年以降、訪日外国人マーケティングにおいて意識すべき最新動向・トレンドは?
出典
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」(2025年3月発行)https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001884192.pdf
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(速報)」(2026年1月発表)
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」5.旅行情報と旅行情報源(1)出発前に役に立った旅行情報源
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」5.旅行情報と旅行情報源(3)日本滞在中に役に立った旅行情報源/(4)日本滞在中に役に立った旅行情報
- JNTO(日本政府観光局)「ウェブサイトやSNSを通じた訪日観光情報の提供」https://www.jnto.go.jp/projects/overseas-promotion/market-projects/web-sns.html
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」5.旅行情報と旅行情報源(2)出発前に旅行情報を得た言語
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」3.土産品の購入実態(4)利用した決済方法
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」Ⅱ 国籍・地域別「旅行情報ランキング(旅行出発前に役立った旅行情報源)」
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年 年次報告書」1.訪日外国人の属性と旅行内容(2)観光・レジャー目的 平均泊数・滞在日数
本記事内の統計数値はすべて観光庁の公表資料に基づいています。数値は調査時点のものであり、最新の値は各出典元をご確認ください。