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外国人によく聞かれる質問8つと答え方|浅草・人力車の現場から

外国人によく聞かれる質問と答え方|よく聞かれる質問 8つ
目次
  1. 実際に聞かれた8つの質問
  2. 通説:多言語対応とは、翻訳することである
  3. 現実:聞かれているのは、ガイドブックに載っていないこと
  4. 1つずつ、現場でどう答えていたか
  5. 1.「浅草ってどこ? 東京は知ってるけど浅草は知らない」
  6. 2.「日本人はなんでみんな笑顔なの?」
  7. 3.「美味しいチェーン店を教えて」
  8. 4.「一番おいしい日本食は?」
  9. 5.「観光客向けじゃないスポットを教えて」
  10. 6.「空港までの行き方」
  11. 7.「ハラール対応について」
  12. 8.「キリスト教徒は神社に行っていいの?」
  13. 客層が変われば、聞かれることが変わる
  14. 根拠①:雷門前で数えた言語
  15. 根拠②:公的統計
  16. だから、多言語対応の中身が変わります
  17. 答えたくない質問への備え
  18. まとめ|明日からできること

「多言語対応をしましょう」と言われて、まずメニューの翻訳から始める事業者の方は多いと思います。

しかし、現場で実際に聞かれている質問の多くは、メニューを翻訳しても答えられません。

私たちMILOKUの代表・川名は、浅草で人力車の車夫として外国人観光客を乗せてきました。
この記事では、その現場で実際に聞かれた質問8つと、実際に答えていた内容をそのまま紹介します。
あわせて、客層の変化によって質問の中身が変わってきていることを、公的統計と自社の定点観測の両方から示します。

実際に聞かれた8つの質問

質問
1 浅草ってどこ? 東京は知ってるけど浅草は知らない
2 日本人はなんでみんな笑顔なの?
3 美味しいチェーン店を教えて
4 一番おいしい日本食は?
5 観光客向けじゃないスポットを教えて
6 空港までの行き方
7 ハラール対応について
8 キリスト教徒は神社に行っていいの?

8問のうち、店のメニューや商品について聞かれたものは1つもありません。

通説:多言語対応とは、翻訳することである

インバウンド対応というと、メニューやウェブサイトの翻訳、翻訳アプリの導入から始めるのが一般的です。
実際、私たちも「まず翻訳を」とご相談をいただくことが多くあります。

翻訳は必要です。ただし、それは入口にすぎません。

現実:聞かれているのは、ガイドブックに載っていないこと

8つの質問を並べると、傾向がはっきりします。

質問の種類 該当する質問
生活情報(ガイドに載っていないこと) 1・3・5・6
文化・宗教 2・7・8
食 3・4

聞かれているのは、浅草寺の由来でも、仲見世の歴史でもありません。

どのチェーン店が美味しいのか。観光客がいない場所はどこか。空港へどう帰るのか。
検索すれば出てくることは、聞かれません。検索しても出てこないから、目の前の人に聞くのです。

多くの事業者が、自店の歴史やこだわりを英訳することから始めます。
現場で聞かれているのは、そこではありません。

1つずつ、現場でどう答えていたか

1.「浅草ってどこ? 東京は知ってるけど浅草は知らない」

現場での答え方は、知られているものを使って位置を説明するというものでした。

「東京都の東部(台東区)にある、東京で最も歴史のある下町エリアの一つです。
巨大な赤い提灯がある浅草寺や、江戸時代の雰囲気が残る仲見世商店街が有名です。
上野や東京スカイツリーからもすぐ近くです。」

この質問は、日本の事業者の前提を壊します。

私たちは「浅草なら世界的に知られている」と考えがちです。
ところが現場では、「Tokyo」は知っていても「Asakusa」は知らないという反応が返ってきます。

実務に直結します。

やること 理由
Googleビジネスプロフィール・予約サイト・看板で「Asakusa」だけで終わらせない 地名として独立して認知されていない
「Tokyo」や、知られている施設名と併記する 知られているものを手がかりに位置を伝える

上野・秋葉原・台東区は、浅草よりさらに知られていません。 エリア名だけで勝負しないことです。

2.「日本人はなんでみんな笑顔なの?」

「日本の文化では、笑顔は相手への敬意や思いやり、調和を保つための接客マナーとして
大切にされています。困惑した時や照れくさい時にも微笑む習慣があります。
決して不自然なものではなく、歓迎して快適に過ごしてもらいたいという気持ちの表れです。」

わざわざ質問されるということは、日本人の笑顔は、外国人にとって説明を求めたくなるほど目立つということです。

裏を返せば、笑顔はすでにサービス価値として認識されています。
英語のフレーズを覚えるより先に、できていることがある、と考えることもできます。

3.「美味しいチェーン店を教えて」

接客する側の直感と逆の質問です。 日本人は、チェーンより個人店や名店をすすめたくなります。

現場での答えは、具体的な店名でした。

ジャンル 答えていた店
牛丼 吉野家・すき家・松屋
回転寿司 スシロー・くら寿司
うどん 丸亀製麺
ラーメン 一蘭・一風堂

チェーンが求められる理由として考えられるのは、安心して入れる・価格が読める・どこにでもある、
そして何より日本人が普段食べているものだからです。

自店がチェーンでなくても、近所のチェーンをすすめて構いません。 信頼につながります。
逆にチェーン店の側は、「外国人には選ばれない」と思い込む必要はありません。

4.「一番おいしい日本食は?」

「日本食には何がありますか」ではなく、「一番」を聞かれます。

「好みによりますが、寿司・ラーメン・和牛のすき焼きやしゃぶしゃぶ・天ぷらが特に人気です。」

ここから引き出せる実務は1つです。
メニューを全部翻訳するより、「うちの一番」を1つ決めて押すほうが速い。
3の質問と同じで、求められているのは網羅ではなく即答です。

5.「観光客向けじゃないスポットを教えて」

3と同じ「リアルな日常を見たい」という欲求の別の現れです。

現場では、レトロな街並みが残る谷中・根津・千駄木(谷根千)のような、
浅草から足を延ばせるエリアや、地元のスーパーマーケットやデパ地下を案内していました。
日本人が普段買っているお惣菜や食材を見られる場所です。

ただし、住宅街や住民の生活圏に人を送ることには線引きが要ります。
観光客の集中が住民の生活に影響する問題は各地で起きています。すすめ方には配慮が必要です。

6.「空港までの行き方」

滞在の最後に必ず発生する不安で、しかも観光案内では扱われにくい領域です。

そして浅草には、他のエリアが真似できない強みがあります。

浅草駅は、都営浅草線で成田空港・羽田空港の両方へ、乗り換えなしで行けます。
京成線・北総線方面が成田へ、京急線方面が羽田へつながっています
(東京都交通局の浅草駅の時刻表でも、この2方向が案内されています)。

大きな荷物を持った移動が負担になる場合は、ホテルや空港との配送サービスを組み合わせる方法もあります。

店や宿が「空港への帰り方」を1枚用意しておくだけで、喜ばれます。
自店の最寄り駅から各空港へどう行くのか、一度書き出しておくことをおすすめします。

7.「ハラール対応について」

この質問が来るのは、偶然ではありません。数字が裏付けています。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2026年1〜8月の訪日外客数は前年同期比2.7%減でした。
その中で、ムスリム圏と南アジアはいずれも二桁で伸びています。

市場 2026年1〜8月の累計 前年同期比
インドネシア 451,200人 11.4%増
マレーシア 421,100人 15.9%増
インド 250,100人 20.2%増
中東地域 179,300人 16.3%増

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日発表)。
2026年の数値は推計値です。

全体が減っている年に、この4市場だけが伸びている。 質問が増えるのは当然です。

そのうえで、事業者の方に必ずお伝えしていることがあります。

日本には、統一されたハラル認証マークがありません。

一般社団法人ハラル・ジャパン協会が公開している一覧によれば、
日本国内の認証機関は日本ムスリム協会、イスラミックセンター・ジャパン、日本ハラール協会、
日本アジアハラール協会、京都ムスリム協会、日本イスラーム文化センター、
ムスリム・プロフェッショナル・ジャパン協会、日本ハラールユニット協会
など、複数存在します。

団体ごとに基準もマークも異なります。
「この認証を取れば大丈夫」と一言で言える状態ではありません。

認証の要否や基準については、必ず認証機関や専門家に直接ご確認ください。
私たちが判断できる領域ではありません。

事業者としてすぐできるのは、自店のメニューで何を使っているかを正確に説明できるようにしておくことです。
豚肉やアルコールの使用有無は、調味料まで含めて聞かれます。

8.「キリスト教徒は神社に行っていいの?」

宗教施設を案内する事業者が必ず直面する質問でありながら、ほとんど語られていません。

ここで大切なのは、2つの話を混ぜないことです。

内容 誰が答えられるか
神社の側は、他宗教の信者の参拝や見学を拒みません 事実として伝えられます
その人が信仰上、参拝してよいかどうか その方ご自身の領域です

現場で伝えていたのは前者と、マナーでした。
手水舎で手を清める、静かに参拝する、文化的な敬意をもって見学する。
その姿勢があれば、どなたでも見学や参拝を楽しめます。

判断そのものは、相手に委ねる。 これが正確で、かつ誠実な答え方だと私たちは考えています。

客層が変われば、聞かれることが変わる

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

質問の内容は、客層によってはっきり違います。

客層 質問の傾向
アメリカ人・欧米系 日本人・文化・歴史について
アジア系 グルメ・有名観光地について

そして、浅草の客層はいま、前者へ移りつつあります。

根拠①:雷門前で数えた言語

私たちMILOKUは、毎月第1土曜の14時から1時間、浅草・雷門前の同じ交差点で定点観測を続けています。
2026年3月7日の観測は30回目でした。

項目 結果
通行人100人の内訳 日本人28人 / 外国人72人
聞こえた言語(25グループ) 英語11・中国語7・韓国語4・その他3(スペイン語2・フランス語1)

観測を始めた当初、雷門前で聞こえる外国語は中国語が過半でした。
それが現在は英語が最多になり、多国籍化しています。

根拠②:公的統計

市場 2026年1〜8月の累計 前年同期比
中国 2,904,600人 56.7%減
米国 2,305,300人 6.1%増
フランス 318,300人 8.6%増
スペイン 170,500人 10.5%増
メキシコ 151,300人 28.0%増
ロシア 131,900人 22.1%増

現場で数えた言語の変化と、公的統計の増減が、同じ方向を指しています。

だから、多言語対応の中身が変わります

かつて(中国語が過半だった頃) いま(英語が最多・欧米系が増加)
グルメ・有名観光地を聞かれる 日本人・文化・歴史を聞かれる
メニューを翻訳すれば足りた 「なぜこれがあるのか」の説明が要る

翻訳ツールを入れれば終わり、ではなくなっています。

なぜこの料理があるのか。なぜこの作法なのか。なぜ日本人はこうするのか。
答えるべき内容が、商品説明から文化の説明へ移っています。

なお、ハラール対応を求める層は、この2分類には収まりません。
ムスリム圏は第3の軸として、別に考える必要があります。

答えたくない質問への備え

最後に、実務として大切なことをお伝えします。

接客の現場では、答えたくない質問が来ることがあります。

代表・川名も、差別的な質問を受けて困ったことがありました。
そのときに使っていたのが、「I’m happy(私は幸せです)」という一言です。

これは逃げではなく、現実的な技術です。

なぜ機能するか
肯定も否定もしていない 同意すれば加担になり、否定すればその場で対立が起きる
話題がそこで終わる 質問に答えていないので、続ける手がかりが残らない
空気が悪くならない 残りの時間を一緒に過ごす相手に対して現実的

どの国のお客様であっても、答えたくない質問は来ます。

接客の記事は「どう答えるか」ばかりを扱いますが、
「どう答えないか」をあらかじめ決めておくことは、現場に立つスタッフを守ります。

答えないための言葉を、店として1つ決めておいてください。

接客で使う英語フレーズそのものは外国人接客に役立つ英語フレーズ完全ガイドにまとめています。

▼支援事例
タイ国営放送の取材を誘致|人力車体験を現地へ届けたインバウンドPR

まとめ|明日からできること

やること 理由
自店の「一番」を1つ決める 網羅ではなく即答が求められている(質問3・4)
エリア名に「Tokyo」など知られている名前を併記する 地名が単独で認知されていない(質問1)
最寄り駅から各空港への行き方を1枚用意する 滞在の最後に必ず聞かれる(質問6)
近所のチェーン店や日常の店もすすめる 求められているのはリアルな日常(質問3・5)
使っている食材を調味料まで説明できるようにする ムスリム圏が二桁成長している(質問7)
答えたくない質問への一言を決めておく スタッフを守るため

翻訳は入口です。 その先に、説明が要ります。

外国人が日本旅行で驚いたこと・困ったことは、観光庁の調査と英語の旅行記から「海外の反応まとめ|日本旅行で外国人が驚いたこと・困ったこと」にまとめています。

日本が世界で何位なのかは、治安・幸福度・英語力・パスポートなど8つの国際ランキングを1ページにまとめた「日本の世界ランキングまとめ【2026年版】」をご覧ください。

私たちMILOKUは、浅草で自ら店舗を運営し、同じ交差点に毎月立って客層の変化を数え続けています。
統計と現場の両方から、自店がいま向き合っているお客様と、用意すべき答えをご一緒に整理できます。
インバウンド集客でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人
川名 友貴
川名 友貴 (かわな ゆうき)
株式会社MILOKU 代表取締役/インバウンド集客コンサルタント

オリックス銀行で法人融資を3年経験したのち、D2Cアパレル事業を創業。その後浅草で人力車の車夫として現場に立ち、マーケティング責任者として人力車業界にいち早くWeb施策を導入。ロサンゼルス支店の立ち上げも担当しました。2025年に株式会社MILOKUを共同設立。

浅草で忍者体験カフェなどをグループで運営しながら、宿泊・飲食・観光施設・自治体まで、セミナー・相談を含めて300社以上のインバウンド集客を支援しています。

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