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浅草定点観測 2026年3月|雷門前の外国人比率72%、消費は食べ歩きへ

浅草定点観測2026年3月|雷門前の外国人比率 72%
目次
  1. 1. なぜ「毎月・同じ場所・同じ項目」を数えるのか
  2. 2. 通行人100人のうち、外国人は72人
  3. 「中国語が過半数」は、もう過去の話
  4. 3. 持ち物が語る、「モノ」から「コト・食べ歩き」への移動
  5. 4. 人力車8割が外国人、着物は「レトロ柄」へ
  6. 5. 行列店ランキング|スイーツに外国人女性が9割
  7. 6. 街が変わり始めた|2026年2月からの2つの変化
  8. 7. この観測から、浅草の事業者が今やるべきこと
  9. 8. やらなくていいこと
  10. 9. よくある質問
  11. まとめ
  12. あわせて読む|浅草・台東区クラスター

毎月第1土曜の14時、私たちは浅草・雷門前の同じ場所に立ち、1時間だけ通行人を数え続けています。今回で30回目。約2年半、同じ地点を見てきました。

「浅草は外国人が多い」と、誰もが言います。でも、その割合が何%で、去年とどう変わり、彼らが何を手に持っているかを、実際に数えた人はほとんどいません。この記事は、2026年3月7日(土)の1時間の記録です。

この記事の結論
  1. 雷門前の外国人比率は72%。 「中国語が過半数」だった時代は、もう終わりました
  2. お金の使い道が「買い物袋」から「食べ歩きスイーツ」へ動いています。 これは公的統計とも一致します
  3. 街は「食べ歩きマナー」の対応期に入りました。 事業者が今すぐ読むべきサインです

私たちMILOKUは、グループで浅草の忍者体験カフェ・食品サンプルカフェを運営しています。代表の川名は、その前は人力車の車夫として雷門前に立っていました。同じ場所を、長期間、当事者として見続けている——それがこの定点観測です。


1. なぜ「毎月・同じ場所・同じ項目」を数えるのか

インバウンドの記事は、世の中にあふれています。しかしその多くは、官公庁が発表した数字の要約です。検索すれば出てくる情報です。

私たちがやっているのは、その逆です。浅草という一点を、毎月同じ条件で数える。 これは、他社が絶対に真似できません。

過去に遡って数えることは、誰にもできません

統計は「日本全体」を見せてくれますが、「雷門前の今日」は見せてくれません。
そして、去年の3月に雷門前で外国人を数えていた記録は、いま数え始めても手に入りません。
定点観測は、時間が経つほど価値が増す、複利の資産です。

数えているのは、次の6項目です。通行人100人の国籍比率、聞こえた言語、手に持っているもの、人力車・着物レンタルの利用、行列店、そして前月からの変化。スマホのカウンターアプリと、メモ1枚で足ります。


2. 通行人100人のうち、外国人は72人

まず、最初の20分で通りかかった100人の内訳です。

区分 人数 前回からの動き
外国人 72名 先月比 +5ポイント
日本人 28名 地元の高齢者と若いカップルが中心

3月上旬という、桜にはまだ早い時期でこの比率です。円安の定着もあり、雷門前は「アジア系+欧米豪」の混成状態になっています。

「中国語が過半数」は、もう過去の話

聞き取れた25グループの言語内訳を見ると、変化はもっとはっきりします。

言語 グループ数 現場での印象
英語 11 北米・欧州の個人旅行者が急増
中国語(簡体・繁体) 7 台湾・香港のファミリー層が目立つ
韓国語 4 —
その他(スペイン語・仏語) 3 欧州個人客の多様化

この定点観測を始めた約2年半前は、中国語が過半数でした。いまは英語が最も多く、完全に多国籍化しています。

現場の肌感覚は、公的統計とも一致します

2026年4-6月期の訪日消費額では、米国が国籍別1位(構成比15.3%)となり、
中国は前年同期比−48.8%と半減しました(出典:観光庁 インバウンド消費動向調査 2026年4-6月期 1次速報/2026-07-15公表)。
「インバウンド=中国人」という前提は、雷門前でも、統計でも、すでに崩れています。

団体バスツアーより、スマホで地図を見ながら歩く少人数グループが主流です。英語圏の旅行者は、仲見世通りに入る手前で必ず立ち止まって写真を撮ります。この「立ち止まる場所」を知っているかどうかも、現場を見ていないと分かりません。


3. 持ち物が語る、「モノ」から「コト・食べ歩き」への移動

いちばん示唆的だったのが、通行人100人の手に持っているものです。

持ち物 人数 中身
飲食物(食べ歩き) 34名 いちご飴、抹茶ソフト、メンチカツの紙袋
買い物袋 29名 ドン・キホーテ、ドラッグストアが中心
スーツケース・大型リュック 22名 ロッカー不足で引いて歩く人が常態化
一眼レフ・本格カメラ 8名 —
手ぶら・小型バッグ 7名 —

観測開始当初、雷門前で目立ったのは「ドラッグストアの買い物袋」でした。それが今では、食べ歩きのスイーツを持つ人が、買い物袋を上回っています。

これも、統計と同じ方向を向いています

2026年4-6月期の費目別構成比は、宿泊費37.0%/買物代26.8%/飲食費21.7%/娯楽等サービス費4.3%。
前年同期比で飲食費・娯楽等サービス費・買物代の構成比が増加し、宿泊費は低下しました(出典:同上)。
爆買いから、体験と食へ。雷門前で数えた持ち物は、この全国的なシフトを先取りして見せています。

浅草の飲食店・体験施設にとって、これは追い風です。詳しくは浅草の飲食店がインバウンド集客するにはにまとめています。


4. 人力車8割が外国人、着物は「レトロ柄」へ

体験系のサービスも数えています。

1時間に通過した人力車(乗客の約8割が外国人)
15台
着物・浴衣レンタルの着用者(うち外国人カップル12組)
18組

代表・川名が車夫だった頃と比べても、外国人の乗車比率は上がり続けています。浅草寺周辺を回る短距離コースが人気です。

着物レンタルでは、質的な変化も見えました。以前は落ち着いたレース系が人気でしたが、最近は色鮮やかなレトロ柄を選ぶ欧米系観光客が増えています。「写真映え」の基準が、国籍によって違うということです。こうした肌感覚は、人力車の車夫の視点ならではのものです。


5. 行列店ランキング|スイーツに外国人女性が9割

14時45分時点で、行列ができていた店です。

順位 店 待ち 特徴
1 浅草メンチ 約35人 回転は早いが、常に角を曲がって列が伸びる
2 浅草花月堂(メロンパン) 約25人 写真撮影待ちの若者が多数
3 いちごスイーツ専門店(新店) 約20人 9割が外国人女性

第3項の「持ち物=食べ歩き」データと、行列の顔ぶれが完全に一致しています。外国人観光客が、いま浅草でお金を落としているのは、片手で食べられるスイーツです。


6. 街が変わり始めた|2026年2月からの2つの変化

定点観測でいちばん大事なのは、前月から何が変わったかです。今月は2つ、はっきりした変化がありました。

この1ヶ月の街の変化

□ 日本語表記のない店が出現。 雷門通りの元・古着屋跡に、外国人向けの「抹茶体験&テイクアウトカフェ」がオープン。店頭看板は英語・中国語・韓国語のみで、日本語がありません
□ 食べ歩きマナーの対応が始まった。 仲見世の裏通りに、歩き食べを控えるよう促す英語の注意看板が増設。ゴミ箱の前で食べきるルールが、少しずつ浸透し始めています

この2つは、無関係ではありません。食べ歩き需要が伸びた結果、街がマナーの整備に動いている——需要の変化が、街のインフラの変化として現れ始めた、ということです。


7. この観測から、浅草の事業者が今やるべきこと

1時間のメモですが、事業者が動くための材料は十分に読み取れます。

1
食べ歩き前提で商品を見直す
片手で食べられるか、写真映えするか。買い物袋より、いま伸びているのはこちら
▼
2
多言語は「英語だけ」で満足しない
現場は英・中・韓・欧州言語の混成。最低でも英中韓、Googleマップの多言語化を
▼
3
「立ち止まる場所」で見つかる
仲見世手前など、外国人が足を止めて検索する地点で、地図に出るか
▼
4
マナー対応を掲示に変える
食べ歩きルールは、注意ではなく「案内」として多言語で出すと、トラブルが減ります

特に、外国人が店を探す入口は、いまもGoogleマップです。受け皿の作り方はインバウンドMEO対策の完全ガイドにまとめています。


8. やらなくていいこと

売り物を否定できるのは、他に売るものがある会社だけです。現場を数えてきた立場で、正直に書きます。

数字を見て、力を入れなくていいこと

□ 「爆買い」前提の品揃え — 買い物袋より食べ歩きが伸びています。高額物販一辺倒は時流とずれます
□ 中国語だけ/英語だけの対応 — 現場は多国籍。1言語に絞る前に、まず英中韓を薄く広く
□ 団体バスツアー狙いの一括対応 — 主流はスマホで歩く少人数グループです
□ 日本語だけのメニュー・看板 — 日本語なしの店すら出始めています。多言語は前提条件になりました


9. よくある質問

Q. 定点観測は、うちの店でもできますか。

できます。毎月同じ日・同じ時間・同じ場所で、通行人100人を数えるだけです。3ヶ月続ければ、自分の商圏の変化が数字で見えてきます。特別な道具は要りません。

Q. なぜ雷門前なのですか。

外国人観光客の動線が、必ず通る一点だからです。条件を固定することが、定点観測の命です。場所・時間・数える項目を変えると、比較ができなくなります。

Q. この数字は、浅草全体に当てはまりますか。

雷門前という一点の記録です。ただし、同じ地点を長期間見ているからこそ、「変化の方向」は信頼できます。全国統計と照らすと、方向は一致していました。

Q. 次回はいつですか。

毎月第1土曜の14時に続けます。3ヶ月分がたまれば「四半期でどう動いたか」、12ヶ月で「1年の推移」という、他社が持てない資産になります。


まとめ

1
外国人比率72%
中国語過半の時代は終わり、多国籍化が進む
▼
2
消費は食べ歩きへ
買い物袋を、スイーツの紙袋が上回った
▼
3
街がマナー整備へ
需要の変化が、街のインフラに現れ始めた
▼
4
事業者は受け皿を
多言語とGoogleマップ、食べ歩き前提の商品設計を

浅草は、毎月確実に変わっています。その変化を、感覚ではなく数字で押さえている——これが、私たちが現場に立ち続ける理由です。来月も、同じ場所で数えます。

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この記事を書いた人
川名 友貴
川名 友貴 (かわな ゆうき)
株式会社MILOKU 代表取締役/インバウンド集客コンサルタント

オリックス銀行で法人融資を3年経験したのち、D2Cアパレル事業を創業。その後浅草で人力車の車夫として現場に立ち、マーケティング責任者として人力車業界にいち早くWeb施策を導入。ロサンゼルス支店の立ち上げも担当しました。2025年に株式会社MILOKUを共同設立。

浅草で忍者体験カフェなどをグループで運営しながら、宿泊・飲食・観光施設・自治体まで、セミナー・相談を含めて300社以上のインバウンド集客を支援しています。

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