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観光競争力ランキング2024|日本は世界3位、観光大国の強みと弱点

観光競争力ランキング2024|日本は世界 3位
目次
  1. 観光競争力ランキング2024(上位10か国)
  2. 通説:日本は観光大国として盤石
  3. 17項目で見ると、強みと弱点が極端に分かれる
  4. 「観光需要の持続性」とは何か
  5. 日本の統計でも、偏りははっきりしている
  6. 浅草の現場では、どう見えているか
  7. 文化資源は世界2位。なのに「浅草ってどこ?」と聞かれる
  8. 誤読に注意:「価格競争力79位=日本は高い」ではない
  9. 事業者は、この評価をどう使うか
  10. よくある質問
  11. まとめ

世界経済フォーラム(WEF)が発表した観光開発指数(Travel & Tourism Development Index)2024で、
日本は119の国・地域の中で3位でした。アジア太平洋地域では1位です。

ただ、この「3位」をそのまま受け取ると、大事なことを見落とします。

評価を17項目に分けると、日本の強みと弱点ははっきり分かれています。

119か国中の順位
総合 3位
文化資源 2位
陸上・港湾インフラ 4位
観光需要の持続性 106位(上位10か国の中で最下位)

この記事では、海外の評価を日本の公的統計と、私たちMILOKUが浅草で続けている定点観測の両方で確かめます。

この記事でわかること
  • 観光競争力ランキング2024の上位10か国と日本の位置
  • 17項目で見た日本の強み(文化資源2位)と弱点(観光需要の持続性106位)
  • 日本の統計と浅草の現場で、その弱点がどう見えているか
  • 「価格競争力79位=日本は高い」が誤読である理由

出典:World Economic Forum「Travel & Tourism Development Index 2024」(2024年5月発行)。
隔年発行で、2026年9月時点では2024年版が最新です。
119の国・地域を5分野・17項目・102指標で評価しています(スコアは1〜7、7が最良)。

観光競争力ランキング2024(上位10か国)

スペイン
5.18
2位
米国
5.24
1位
日本
5.09
3位
順位 国・地域 スコア
1 米国 5.24
2 スペイン 5.18
3 日本 5.09
4 フランス 5.07
5 オーストラリア 5.00
6 ドイツ 5.00
7 英国 4.96
8 中国 4.94
9 イタリア 4.90
10 スイス 4.81

日本は2019年から順位が変わっていません。上位4か国はスコア差が小さく、ほぼ横並びです。

世界全体の観光客数で見た日本の位置は世界の観光客数ランキングにまとめています。

通説:日本は観光大国として盤石

世界3位、アジア1位。訪日外国人は2025年に4,268万人と過去最高を記録しました。
日本の観光は順調だ、と考えるのが自然です。

観光競争力ランキング
3位
アジア太平洋では1位
2025年の訪日外国人
4,268万人
過去最高
観光需要の持続性
106位
上位10か国の中で最下位

ところが17項目に分解すると、別の姿が見えてきます。

17項目で見ると、強みと弱点が極端に分かれる

QUIZ
日本が119か国中「2位」の評価を受けた項目はどれでしょう?
A. 文化資源
B. 安全・治安
C. 価格競争力
答えを見る
A. 文化資源
1位のイタリアとは0.03差で、ほぼ並んでいます。安全・治安は39位、価格競争力は79位でした(項目別の順位は各国スコアから私たちが算出)。

報告書には項目ごとの順位は載っていません。
そこで、報告書に掲載されている全119か国の項目別スコアから、私たちが順位を算出しました。

項目 スコア 119か国中
文化資源 6.71 2位
陸上・港湾インフラ 6.08 4位
ビジネス等の旅行資源 5.93 4位
自然資源 5.11 11位
保健・衛生 6.23 12位
航空インフラ 5.34 14位
ビジネス環境 5.38 19位
人材・労働市場 4.90 22位
ICT(情報通信) 6.03 25位
環境の持続性 5.20 27位
安全・治安 5.98 39位
観光の優先度(政策) 4.78 40位
観光の社会経済効果 4.57 44位
観光サービス・インフラ 2.93 56位
観光への開放性 4.06 60位
価格競争力 4.34 79位
観光需要の持続性 3.02 106位
日本の観光競争力の17項目の世界順位を示すグラフ(119か国中)。文化資源2位、陸上・港湾インフラ4位、ビジネス等の旅行資源4位、自然資源11位、保健・衛生12位、航空インフラ14位、ビジネス環境19位、人材・労働市場22位、ICT25位、環境の持続性27位、安全・治安39位、観光の優先度40位、観光の社会経済効果44位、観光サービス・インフラ56位、観光への開放性60位、価格競争力79位、観光需要の持続性106位
出典:World Economic Forum「Travel & Tourism Development Index 2024」の各国スコアから算出

文化資源は世界2位です。1位のイタリア(6.74)とは0.03差で、ほぼ並んでいます。
一方で、観光需要の持続性は119か国中106位です。

安全・治安が39位なのは意外に思われるかもしれません。
ただし上位はスコア6.5前後に僅差で並んでおり、この項目の下位指標までは確認できていないため、
ここでは理由を推測しません。

「観光需要の持続性」とは何か

報告書によると、この項目は「過密、需要の変動、その他の持続可能でない需要傾向の存在やリスク」を示す要因を測っています。

平たく言えば、観光客が特定の場所や時期に集中しすぎていないかを見る項目です。

ここで公平を期すために、1つお伝えしておくことがあります。

この項目は、観光大国ほど低く出ます。 1位はカメルーンです。観光客が多い国ほど、過密のリスクも高くなるからです。

そこで、総合上位10か国どうしで比べました。

国 観光需要の持続性(119か国中)
米国 6位
オーストラリア 21位
中国 62位
英国 63位
イタリア 74位
ドイツ 83位
スペイン 85位
フランス 92位
スイス 95位
日本 106位

観光大国はたしかに軒並み低い。それでも、日本が上位10か国の中で最も低いのです。
「観光大国だから当然」では片づけられません。

1位がカメルーンって、ちょっと意外です。

▶

読者
読者
M
MILOKU

◀

この項目は、観光客が多い国ほど低く出やすいんです。人が多いと、過密のリスクも大きくなるので。
それでも、日本は上位10か国の中で最下位。

▶

読者
読者
M
MILOKU

◀

そうなんです。米国は6位なので、観光大国でも高く出る国はあります。

日本の統計でも、偏りははっきりしている

WEFの評価を、日本の公的統計で確かめます。

観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年・速報値)によると、外国人延べ宿泊者数は全国で1億7,786万8,000人泊でした。
そのうち、

外国人延べ宿泊者数 全国シェア
東京都 5,959万1,270人泊 33.5%
大阪府 2,420万3,390人泊 13.6%
京都府 1,874万7,780人泊 10.5%
3都府県 合計 1億254万2,440人泊 57.6%

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(速報値))」(2026年2月27日公表)。

外国人の宿泊の6割近くが、3つの都府県に集中しています。
WEFが「需要の偏り」として低く評価した状態は、日本の統計にもそのまま表れています。

外国人の宿泊の6割近くが、東京・大阪・京都なんですね。

▶

読者
読者
M
MILOKU

◀

東京都だけで33.5%です。外国人の宿泊の、およそ3分の1が東京です。
地方は伸びていないんですか?

▶

読者
読者
M
MILOKU

◀

伸び方でいえば、地方部のほうが三大都市圏の3倍の速さです。ただ、数の差はまだ大きいままです。

全47都道府県の数字は外国人宿泊者数の都道府県ランキングをご覧ください。地方部の伸びは三大都市圏の3倍でした。

浅草の現場では、どう見えているか

ここからは統計ではなく、私たちMILOKUの一次データです。

代表・川名は、毎月第1土曜の14時から1時間、浅草・雷門前の同じ交差点に立ち、同じ項目を数えています。
2026年3月7日の観測は30回目でした。

項目 結果
通行人100人のうち外国人 72人
聞こえた言語(25グループ) 英語11・中国語7・韓国語4・その他3
行列の上位3つ すべて食べ歩きの店(約35人・約25人・約20人)
浅草・雷門前の通行人100人を100マスで表した図。外国人72人、日本人28人。聞こえた言語は英語11、中国語7、韓国語4グループ
出典:私たちMILOKUによる浅草・雷門前の定点観測(2026年3月7日・第30回)

そして同じ日の観測では、仲見世の裏通りに、食べ歩きの自粛を求める英語の看板が増えていました。

「観光需要の持続性106位」という数字は、現場では看板の増設という形で目に見えています。

文化資源は世界2位。なのに「浅草ってどこ?」と聞かれる

もう1つ、現場から付け加えたいことがあります。

代表・川名が浅草で人力車の車夫をしていたとき、外国人のお客様から実際にこう聞かれました。

「浅草ってどこ? 東京は知ってるけど浅草は知らない」

代表・川名の答えは、こうでした。

代表・川名

「ここだよ!(笑)
東京都の東部(台東区)にある、東京で最も歴史のある下町エリアの一つです。巨大な赤い提灯がある『浅草寺(せんそうじ)』や、江戸時代の雰囲気が残る仲見世商店街が有名です。上野や東京スカイツリーからもすぐ近くにあります。」

知られている場所(上野・スカイツリー)を手がかりに、位置を説明しています。

日本の文化資源は、WEFの評価で世界2位です。資源そのものは、世界最高水準にあります。

しかし、その資源が「どこにあるのか」までは、伝わっていないことがあります。

ここは私たちの解釈です。WEFの文化資源の項目が何を測っているかと、地名の認知度を直接結びつける根拠はありません。

資源があることと、それが伝わっていることは、別の問題です。
そして後者は、事業者が自分の手で変えられる部分です。

人力車の現場で実際に聞かれた質問と答え方は外国人によく聞かれる質問8つと答え方で紹介しています。

誤読に注意:「価格競争力79位=日本は高い」ではない

最後に、読み違えやすい項目を1つ取り上げます。

価格競争力は119か国中79位です。これだけを見ると「日本は旅行費用が高い国」と読めてしまいます。

ところが、上位10か国どうしで比べると逆の姿になります。

国 価格競争力(119か国中)
中国 41位
日本 79位
ドイツ 92位
スペイン 94位
フランス 102位
イタリア 105位
オーストラリア 112位
英国 113位
米国 115位
スイス 116位
観光開発指数2024の上位10か国の価格競争力の順位を示すグラフ(119か国中)。中国41位、日本79位、ドイツ92位、スペイン94位、フランス102位、イタリア105位、オーストラリア112位、英国113位、米国115位、スイス116位
出典:World Economic Forum「Travel & Tourism Development Index 2024」の各国スコアから算出
ここがポイント

上位10か国の中で、日本は中国に次いで2番目に割安です。

観光大国はどこも物価が高めで、この項目は下位に集まりやすい。
その中では、日本はむしろ「行きやすい国」の側にいます。

事業者は、この評価をどう使うか

WEFの評価 事業者にとっての意味
文化資源2位 資源は十分にある。足りないのは「どこにあるか」を伝えること
観光需要の持続性106位 人気の場所・時間帯に集中している。混雑していない時間・場所を提案できる店が選ばれる
価格競争力は上位国の中で割安 「日本は高い」と思い込んで値下げに走らない。価格より体験の中身で勝負できる
観光サービス・インフラ56位 上位10か国の中で下から2番目。受け入れ体制が需要に追いついていない

とくにお伝えしたいのは2つ目です。

外国人のお客様に「日本は物価が高い」と言われることがあって。値下げしたほうがいいでしょうか?

▶

店長
店長
M
MILOKU

◀

WEFの評価では、日本の価格競争力は79位ですが、上位10か国の中では中国に次いで2番目に割安です。観光大国の中では、日本はむしろ行きやすい国なんです。
では、何で勝負すればいいですか?

▶

店長
店長
M
MILOKU

◀

体験の中身と、混雑していない時間や場所の提案です。需要が集中している日本では、「空いている」こと自体が価値になります。

需要が集中している国では、「空いている」こと自体が価値になります。
平日の午前中、雨の日、観光地から一本裏の通り。
集中を避けたい旅行者に向けて、その選択肢を示せる店は、それだけで選ばれる理由を持ちます。

よくある質問

Q. 観光開発指数(TTDI)とは何ですか。
A. 世界経済フォーラムが隔年で発表している、観光分野の発展度を測る指数です。
2024年版は119の国・地域を、5分野・17項目・102指標で評価しています。

Q. 日本は観光大国ランキングで何位ですか。
A. 2024年版で3位です(スコア5.09)。1位は米国、2位はスペインでした。

Q. 日本が一番強い項目は。
A. 文化資源で、119か国中2位です(私たちが報告書の各国スコアから算出)。

Q. 日本が一番弱い項目は。
A. 観光需要の持続性で、119か国中106位です。過密や需要の偏りのリスクを測る項目で、
観光大国ほど低く出る性質がありますが、日本は上位10か国の中でも最も低い結果でした。

Q. 最新版はいつ出ますか。
A. 隔年発行で、2026年9月時点では2024年版が最新です。

まとめ

ポイント
総合順位 119か国中3位(アジア太平洋1位)
最大の強み 文化資源 2位(1位イタリアとほぼ同点)
最大の弱点 観光需要の持続性 106位(上位10か国で最下位)
日本の統計 外国人宿泊の57.6%が東京・大阪・京都に集中
浅草の現場 食べ歩き自粛の英語看板が増設
誤読に注意 価格競争力79位だが、上位国の中では2番目に割安

世界3位という評価の中身は、「資源は世界最高水準、しかし需要は偏っている」です。

私たちMILOKUは、浅草で自ら店舗を運営しながら、同じ交差点に毎月立って客層の変化を数え続けています。
海外の評価、日本の統計、そして現場の三つを突き合わせて、自店がいま何をすべきかをご一緒に整理できます。
インバウンド集客でお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人
川名 友貴
川名 友貴 (かわな ゆうき)
株式会社MILOKU 代表取締役/インバウンド集客コンサルタント

オリックス銀行で法人融資を3年経験したのち、D2Cアパレル事業を創業。その後浅草で人力車の車夫として現場に立ち、マーケティング責任者として人力車業界にいち早くWeb施策を導入。ロサンゼルス支店の立ち上げも担当しました。2025年に株式会社MILOKUを共同設立。

浅草で忍者体験カフェなどをグループで運営しながら、宿泊・飲食・観光施設・自治体まで、セミナー・相談を含めて300社以上のインバウンド集客を支援しています。

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