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上野インバウンドの現状|外国人経営が増えたアメ横と事業者の打ち手

目次
  1. 1. 上野は「通過駅」になっていないか
  2. 2. 数字で見る上野・台東区
  3. 3. 上野と浅草は、同じ客層です
  4. 4. 外国人に人気の場所と、事業者にとっての意味
  5. 季節の波は、把握しておく価値があります
  6. 5. アメ横で起きている、いちばん大きな変化
  7. 何が違うのか
  8. 6. 日本の店が取りこぼしている3つ
  9. ① 料金が書いていない
  10. ② 現金しか使えない
  11. ③ 自動翻訳しか入っていない
  12. 7. では、何をすればいいか
  13. 実際に効いた事例
  14. やることの順番
  15. 口コミは「数」より「強さ」
  16. 8. 写真に、日本人のお客様も入れてください
  17. 9. やらなくていいこと
  18. 10. よくある質問
  19. まとめ
  20. あわせて読む

上野は、外国人観光客であふれています。アメ横を歩けば、聞こえてくる言葉の多くは日本語ではありません。

それなのに「うちには来ていない」と感じている事業者の方が、非常に多い。

私たちMILOKUは、隣の浅草で、グループで忍者体験カフェなどを運営しています。代表の川名は、その前は人力車の車夫として現場に立っていました。上野を歩いて、実際に何が起きているかを見てきた立場から書きます。

この記事の結論
  1. 上野と浅草の客層は、ほぼ同じです。 エリアが隣接しているため、打ち手も共通します
  2. アメ横では外国人が経営する店が急増しています。そして——
  3. その外国人経営の店のほうが、インバウンド集客はうまい。 これが現実です

1. 上野は「通過駅」になっていないか

上野は交通の要衝です。成田空港から京成線で直通、新幹線も止まる。日本に着いて最初に降りる街である人は少なくありません。

ところが、そこで降りるだけで、使わずに次へ移動している——そう感じている事業者の方が多い。

街に人はあふれているのに、店の売上に反映されていない。 これは上野に限った話ではありませんが、上野は特に「通過されやすい立地」です。

観光客の「数」を追っても、売上は増えません

上野を訪れる外国人の数は、事業者が努力しなくても増えています。
問題は、その人たちが自分の店に入るかどうかです。ここは数ではなく、仕組みの話になります。


全国の訪日外客数の推移は訪日外客数の推移でご確認いただけます。

2. 数字で見る上野・台東区

上野は東京都台東区にあります。台東区の観光統計を見ると、規模がはっきりします。

台東区の年間観光客数
4,121万人
過去最多を更新
外国人観光客の増加率
1.45倍
前年比
観光消費額
4,058億円
1人あたり9,847円

詳しい読み解きは 台東区の観光客数4,121万人に|浅草インバウンドの最新統計を読み解く にまとめています。

2026年に入っても、この流れは続いています。 2026年上半期の訪日外客数は2,108万人で、2年連続の2,100万人超。
中国が減少する一方、同じ月に15の市場が「過去最高」を更新しており、市場は分散に向かっています。

全国の規模も確認しておきます。

2025年の実績
訪日外客数 4,268万人(前年比15.8%増・初の4,000万人超)
旅行消費額 9兆4,549億円(前年比16.4%増・過去最高)
1人あたりの旅行支出 22万9千円

出典:JNTO 訪日外客数/観光庁 消費動向調査

お金は確実に動いています。 問題は、それが上野の店に落ちているかどうかです。

「2025年に訪日客3,300万人」という数字は誤りです

今も資料や記事で使われていますが、正しくは4,268万人です。約1,000万人ずれています。
提案書や会議で使う前に、必ずデータの出典と年を確認してください。


3. 上野と浅草は、同じ客層です

これは現場を両方見ている立場からの実感です。

上野と浅草の客層は、かなり近い。 エリアが隣接しているため、同じような層のお客様が回遊しています。実際、上野で降りて浅草へ、浅草から上野へ、という動きは日常的です。

これが意味すること

浅草で効いた施策は、上野でもほぼそのまま効きます。
逆に言えば、浅草の事業者が直面している課題は、上野でも同じように起きています。

この記事で紹介する事例は浅草のものが中心ですが、再現性があると考えて差し支えありません。

代表・川名が人力車の現場で見てきた客層の変化は、こうです。

時期 外国人の比率
コロナ前〜コロナ禍 日本人がほぼ100%の日が続いた
コロナ明け以降 4:6 〜 5:5 へ

国別ではアメリカが最多。近年は富裕層の比率が上がっています。


4. 外国人に人気の場所と、事業者にとっての意味

上野には、性格の違う人気スポットが集中しています。どこの近くにあるかで、取るべき打ち手が変わります。

場所 集まる客層 事業者にとっての意味
アメ横 買い物・食べ歩き。滞在時間が短い 即断即決される。写真と価格が勝負
上野恩賜公園 散策・季節目当て。滞在が長い 休憩需要。桜の時期は別格
東京国立博物館・美術館 文化目的。単価が高い層 前後の食事需要。落ち着いた店に有利
上野動物園 ファミリー 子ども対応・ベビーカー・アレルギー表示
駅周辺・宿泊施設 到着直後/出発前 荷物・両替・Wi-Fiが意思決定に効く
自分の店が「どの動線上」にあるかを確認してください

同じ上野でも、アメ横沿いと博物館側では客層も滞在時間もまったく違います。
アメ横なら3秒で伝わる看板、博物館側ならゆっくり過ごせる情報。打ち手が変わります。

季節の波は、把握しておく価値があります

上野恩賜公園は花見の名所です。桜の時期は人出がまったく別物になり、その前後で来客数が大きく動きます。

混む時期に何もしないのは、最ももったいない。 繁忙期は「来た人を取りこぼさない」、閑散期は「見つけてもらう」——やることを切り替えてください。


5. アメ横で起きている、いちばん大きな変化

ここが、この記事で最もお伝えしたいことです。

外国人が経営する飲食店が、明らかに増えました。

アメ横を歩くと、その変化は誰の目にも分かります。そして——

代表・川名

外国人経営の飲食店に、インバウンドの外国人が集まっている。
これが本当に日本文化をしっかり伝えられているかっていうのは、怪しいところではあります。

でも一方で、そういう店のほうがインバウンド集客に優れている。これは事実です。

気持ちのいい話ではありません。 ですが、目を逸らしても状況は変わりません。

何が違うのか

同じ通りで営業していて、なぜ差がつくのか。歩いて見えるのは、この3つです。

1
看板が多言語になっている
日本語だけの看板の店は、外から中身が分かりません
▼
2
決済手段が多い
キャッシュレスが前提。現金のみは入店前に外されます
▼
3
写真で選べる
何が食べられるか、いくらかが見た瞬間に分かる

いずれも、料理の腕とは何の関係もありません。伝え方の問題です。

逆に言えば、勝てます

外国人経営の店が強いのは、彼らが外国人の探し方を知っているからです。
料理や体験の質で負けているわけではありません。

「伝え方」は学べば追いつけます。 そこが救いです。


6. 日本の店が取りこぼしている3つ

現場を見ていて、繰り返し目にするのがこの3つです。

① 料金が書いていない

「時価」「応相談」「お問い合わせください」——外国人はここで候補から外します。

一生に一度の旅行かもしれない相手が、値段の分からない店に入るはずがありません。

料金表示の最低要件(一覧)

□ 税込総額で書く(¥1,200 (tax incl.))
□ 写真とセットにする
□ 数量・人数を明記する(「1人前」「2名〜」)

② 現金しか使えない

海外のお客様はキャッシュレスが前提です。現金のみの店は、入店前に外されます。

対応すべきもの 主な客層
クレジットカード(タッチ決済) 欧米豪
Alipay / WeChat Pay 中華圏
交通系IC 全般

「使えるかどうか」より、「使えると書いてあるか」が重要です。 店頭に決済ロゴを貼るだけで変わります。

③ 自動翻訳しか入っていない

Google翻訳のウィジェットを入れて「多言語対応済み」と考えている店は非常に多いのですが、自動翻訳のテキストは検索エンジンに登録されません。

つまり、英語で検索している人には、そもそも見つけてもらえていません。

さらに、直訳は事故を起こします。

代表・川名

辛子明太子。明太子を海外向けに直訳すると「魚の卵」みたいな表現になるんです。
すごく美味しくなさそうなんですよ。

人の手を入れて 「博多スパイシーキャビア」 と表現し直したところ、反応がまったく変わりました。未知の食べ物が、試してみたいものに変わったわけです。


7. では、何をすればいいか

上野の事業者にとって、最初の一歩はGoogleマップです。外国人が店を探す入口は、ほぼここだからです。

実際に効いた事例

いずれも浅草での支援ですが、客層が同じ上野でも再現性があります。

事業者 施策 結果
東京 更科天狐 様(そば・天ぷら) GBPの多言語化、写真設計、口コミ運用 検索数+3,175%(623件→19,780件)/通話数+2,033%
inimu 様(香水ブランド) GBP最適化、MEO順位改善、多言語化 Googleマップ閲覧数前年比300%UP/「Japanese fragrance」で1〜3位
浅草香和 様(和風ショーシアター) MEO+インバウンドSEO+多言語HP 閲覧数320%超UP/来店・予約数160%UP

(それぞれの詳細は 事例ページ をご覧ください)

上野エリアでも、メイドカフェと雑貨店のMEO対策を支援し、集客につなげています。(公開許諾の関係で店名は伏せています)

やることの順番

1
Googleビジネスプロフィールを整える
店名・カテゴリ3つ・写真・料金。費用ゼロ
▼
2
決済と料金を「書く」
店頭とネット上の両方に。費用ゼロ
▼
3
口コミを運用に乗せる
会計後ではなく、満足していただけた瞬間に依頼する
▼
4
英語ページを1枚つくる
雰囲気・内容・料金の3点だけ
店名に「東京」を入れてください

外国人は「上野」を知りません。 知っているのは「Tokyo」です。

Googleビジネスプロフィールの店名は、地名を1つ入れるのは許容範囲です
(キーワードの詰め込みはポリシー違反)。入れるなら「Tokyo」を優先してください。

口コミは「数」より「強さ」

弱い強い
コメントなしの星5投稿履歴のないアカウント。ほぼ効果がありません
テキストのみの短い口コミ数はあっても内容が薄い
長文の口コミ具体的な体験が書かれているもの
ローカルガイドの口コミ投稿実績のあるユーザーは信頼度が高い
画像付きの口コミ写真があるだけで大きく変わります
動画付きの口コミ通常の約5倍の効果があります
割引や景品と引き換えの口コミ依頼は、規約違反です

Googleのポリシーでは「投稿と引き換えの金銭・割引・無料の商品」は禁止されています。
違反すると、口コミの一括削除やプロフィールへの制限が起こり得ます。

さらに日本では2023年10月からステルスマーケティングが景品表示法の規制対象です。
規制されるのは事業者側です。


8. 写真に、日本人のお客様も入れてください

これは現場を見ていないと出てこない視点です。

代表・川名

日本人がいる観光地っていう要素も非常に重要だと思っていて。
地元の方が遊びに来るような場所に、僕らも海外旅行で行きたいじゃないですか。
それと一緒で、浅草は日本人の観光客がいるからこそ日本らしさがあって、そこに外国人が集まっている。

外国人客の写真だけを並べたページは、「観光客向けに作られた場所」に見えます。 彼らが求めているのは、地元の人が実際に使っている店です。

アメ横は、まさにその価値を持っている場所です。日本人が普通に買い物をしている風景そのものが、外国人にとっての魅力になります。


9. やらなくていいこと

売り物を否定できるのは、他に売るものがある会社だけです。

優先度が低い、または不要なもの

□ 全言語のメニューを一度に作る — まず英語だけ。中国語・韓国語は後で十分です
□ SNSを先に頑張る — 受け皿がなければ通り抜けるだけ。順番が逆です
□ MEOの順位を毎日チェックする — 位置情報で変わります。見るのは流入キーワードの種類数
□ 観光ポータルの上位プラン — 外国人はそこを見ていません
□ 凝ったアニメーションのサイト — Free Wi-Fiでは開かれません
□ 口コミの見返り付き依頼 — 規約違反。失うもののほうが大きい


10. よくある質問

Q. 上野で外国人に人気のスポットはどこですか。

アメ横、上野恩賜公園、東京国立博物館、上野動物園が中心です。ランキング形式の情報は多数ありますが、事業者にとって重要なのは順位ではなく「自分の店がどの動線上にあるか」です。第4章の表をご覧ください。

Q. 上野に外国人観光客は何人来ていますか。

上野単体の統計はありませんが、上野を含む台東区の年間観光客数は4,121万人で過去最多です。外国人観光客は前年の1.45倍に増えています。

Q. アメ横で外国人経営の店が増えているのはなぜですか。

需要があり、彼ら自身が外国人の探し方を知っているためと見ています。言語と決済の壁がないことが、そのまま競争力になっています。

Q. 英語が話せるスタッフがいません。

問題ありません。必要なのは語学ではなく、写真と価格が書いてあることです。 「英語が話せるスタッフはいませんが、写真と翻訳アプリでご案内します」と正直に書くほうが、来店につながります。

Q. どのくらいで効果が出ますか。

Googleビジネスプロフィールの整備は反応が早く、1〜2ヶ月で表示回数が動き始めます。 Web検索はもう少しかかり、3〜6ヶ月を見てください。

Q. 上野と浅草、どちらが有利ですか。

客層はほぼ同じなので、有利不利より「何をしているか」の差です。浅草は観光地としての知名度が高い一方、上野は交通の要衝という強みがあります。


隣接する秋葉原の状況は秋葉原インバウンドの現状でまとめています。上野とは客層が異なります。

▼関連記事
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原宿インバウンドの現状と流行り|外国人に人気のスポットと事業者の対策

まとめ

上野には、すでに人が来ています。

1
書く
料金・決済手段・所要時間。これだけで候補に入ります
▼
2
整える
Googleビジネスプロフィール。店名に「Tokyo」、カテゴリ3つ、写真
▼
3
集める
口コミは数より強さ。満足していただけた瞬間に、写真付きで
▼
4
測る
順位ではなく、流入キーワードの種類数

アメ横で外国人経営の店が伸びているのは、料理で勝っているからではありません。伝え方で勝っているからです。

伝え方は、学べば追いつけます。 そして日本の事業者には、彼らが持っていないもの——日本人が普通に通っている店であるという事実があります。

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この記事を書いた人
川名 友貴
川名 友貴 (かわな ゆうき)
株式会社MILOKU 代表取締役/インバウンド集客コンサルタント

オリックス銀行で法人融資を3年経験したのち、D2Cアパレル事業を創業。その後浅草で人力車の車夫として現場に立ち、マーケティング責任者として人力車業界にいち早くWeb施策を導入。ロサンゼルス支店の立ち上げも担当しました。2025年に株式会社MILOKUを共同設立。

浅草で忍者体験カフェなどをグループで運営しながら、宿泊・飲食・観光施設・自治体まで、セミナー・相談を含めて300社以上のインバウンド集客を支援しています。

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